あの日、雨と傘と君と


「ちっ。なんだよ。男持ちかよ、行くぞ」

男達はみんな自分の部屋に戻っていった。


その瞬間、気が一気に緩んだ。


全部が抜けてしまうくらい。


紫雨はへなへなとその場に座り込んだ。


「怖かった…」


あの時、高杉さんがいなかったら、私どうなっちゃってたんだろう。


ほっとして気づいたら涙が出てた。


ちょ、なに泣いてるの私!


「怖かったよな」


頭に暖かさを感じて、上を見上げると、すぐそこには彼の手があった。


おっきくて、包み込むような。


そういえば前にも頭ポンポンしてくれた気がする。

「あの…、なんでこんなとこにいるんですか?」


「ん?俺、ここでバイトしてんの」


「ええ!?」


紫雨は驚きのあまり叫んでしまった。



確かにそう言われれば、高杉さんは私服じゃなくて、バイトらしき制服を着ていた。


バイトっていってたのはここのことだったんだ。


「てか、なに変な男に絡まれてんの」


「あ、ぶつかってジュースぶっかけちゃって…」


はぁ。と一息ついた彼は、


「俺がもしいなかったら何されてたから分からないんだからね。」


ピンっと私のおでこにデコピンした。


「わっ…。いてっ」


少しだけおでこに痛みが走る。


でもそれよりも、触れられたおでこが熱い。