あの日、雨と傘と君と


「やっと気づいたー?」 


ふふっと笑う咲奈を見て、また恥ずかしさが押し寄せてくる。
 

紫雨が飲んでいたリンゴジュースの紙パックは、強く握っていたせいでもうぺちゃんこだ。


「てか紫雨ってさ、そんなに鈍かったっけ?」


もしかして初恋?と不思議そうに聞いてくる。


「いや、なんか、私恋愛経験とか少ないから…」


中学の時、一回だけ付き合ったことがある。


でも、向こうから告白されたっていうのもあって、正直あまりドキドキしなかった。


『友達としての好き』の延長に感じて、結局一ヶ月程で私の方からふってしまった。


そういう意味では初恋なのかな?



「ま、紫雨がほんとの気持ちに気づいちゃったわけだし、今日はぱーっとカラオケでも行きますか!」


「行こー!でもなんでカラオケ?」    

お弁当箱を片付けている咲奈に問いかけると、

歌いたい気分なの!と笑って言った。


…彼氏のことでいろいろ溜まってるのかしら。