✽
「だーから、それが恋っていうの」
咲奈の一言に、紫雨の飲んでいたリンゴジュースの紙パックがズコッと潰れた音をたてた。
「いや、恋とかじゃないよ…」
昨日の翌日に当たる今日、咲奈に高杉さんのことを思い切って話したらこの有り様。
お昼休みだというのにさっそく恋話をしてくる。
足を組んで箸を私に向かって指しているところは、まるで警察みたい。
「なんで?なんで恋じゃないって分かるの?」
「だって相手は大学生だよ?しかも出会って間もないし」
私が言いたいことを感じ取った咲奈は、一度静かにうつむいた。
「高校生とか大学生とかそんなの関係ないよ。だってドキドキしたんでしょ?離れたくないって思ったんでしょ?」
「…うん」
傘を返してもらう時、早く会いたいって思った。
笑顔を見て胸がぎゅうってなった。
別れる時、もう会えなくなると思ったら悲しくなった。
小さな仕草、行動全部にドキドキしてた。
離したらいけないって思った。
無意識に口実作って誘ってた。
―あぁ。もう答えは出てたんだ。
自覚したとたん顔がぼぼっと熱くなった。


