だけど今に繋がっていると知って、
本当に鈍感だと自分に飽き飽きする。
「ここでいっぱい、音を奏でてくれたこと。本当にありがとう」
感謝がしたかった。
大和が私に振り回されて、
色んなものに手を出したのは、
私のせいだって今でも信じがたいことではある。
だけど大和が必死に頑張っていたのは知っていて、
それが私のためだと思うと嬉しくて仕方ない。
「告白してくれたのがここで、本当に全部が繋がった気がした」
「明香」
もういい、と。
私の所へ歩み寄り、
そっと抱きしめてくれる。
「変に寂しくなるから、今日は笑ってろ」
「ん、そうだね」
手を握る力が強い。
私はこの手に何度も守られてきた。
背中を摩ってくれる手も、
私の髪を撫でる手も、
力強く引っ張る手も。
どれも全部私のものだ。
「お腹空いてる?」
「まだ大丈夫」
「じゃあ遠回りしてスーパー寄ろっか」
「ん」
今日の夜は料理三昧になるだろう。
明日から1人になる大和のために、
作り置きをしなくては。
しばらく困らないように洗濯もして、
ついでにゴミを捨てないと。
大和が1人で生活するのに、
寂しくないように。
強い中にある弱さを、1人で抱えられるように。
「ちょっと寄り道」
辺りが暗くなってきた頃。
スーパーの袋を1つずつ持ち、
大和の後についていく。
寄り道を幾度とした今日、
最後の行く先は。
「うーわーっ!綺麗!」
アパートの裏にあるビルに入った大和は、
エレベーターに乗り込むと、
最上階のボタンを押した。
そこはカフェやオフィスが入っている15階建ての
ビルで、屋上があることを知らなかった。
「ポストにチラシ入ってた」
話を聞くと、来週からこの屋上で、
飲食のテナントが夜に並ぶらしい。
暑くなる前にビアガーデンといったところか。
「来週、来たかったな」
「来ればいいだろ」
「…何なの、ばか」
来れないって知ってて、
そうやって言うのは、
普通に卑怯だ。
「別に来年だって来れる」
未来の約束みたいな、
そんなことをこれからいくつ
していくんだろう。


