「あの男はね、俺から女を全部奪っていくんだ」
その女の子たちが口を揃えて、
大和に捨てられたと戻ってくる。
抱くだけ抱いて、捨てられた、と。
みんな涙するんだって。
そう言った。
「でも今、君と付き合ってるって噂で聞いてさ。弱点、やっぱり君なんだね」
大和を潰すために、
私に嫌がらせをしてるってこと?
「それにしても君もさ、趣味が悪いよ。あんな男に捕まるなんて、頭がどうかしてるのかな?」
笑う黒田くんが不気味で、
もう見ていられない。
「黒田くん、いい加減に…っ」
「じゃあ僕、そろそろ行くんで」
軽く一礼をする。
そして。
「あと、もう気安く呼ばないでくれるかな。君なんかどうでもいいんでね」
ひらひらと手を振り、
私たちに背を向けて自分の教室の方へ
歩いて行った。
私はすぐ後ろを振り向き、
大和の元へ走った。
「大和、何も気にしないで!」
こんなの、
誰が見ても大和のせいで
私がこんな目に遭っているって
言われていることに気付く。
違う。
私は別にそんなことどうでもいい。
「別に私、気にしてないし。それに、こんなのどうだって…、」
「俺の、せいだ」
悲しみに満ち溢れた目で、
私を見つめ。
ごめんと髪を撫でる。
「本当気にしないで…。ね?」
何を言っても大和の耳には届かず、
目には何も写していなかった。
お昼休みも、帰り道も。
何も話さない大和は、
静かにただ私の手を握っているだけだった。


