「さっき色んな奴らから話聞いたんだけど、」
京也は一層紙を強く握りしめると、
すごく怒った表情で私たちを見る。
「この紙も、教室の落書きも、黒田の周りがしたらしいって」
「黒田、くん…?」
どうして黒田くんの名前が出てくるんだろう。
私が彼に、彼の周りに何をしたと言うのか。
更に意味が分からなくなった。
「俺、もう1回校内見てくる」
京也は踵を返し、走って来た方向へ
走って行った。
振り返ると、遠くの方に
大和が歩いてくるのが分かる。
行き先も考えずに校内を歩き回る。
角を曲がろうとした瞬間。
向こうから曲がってきた、男。
「おっと、棚橋さん」
「黒、田くん…」
どうしよう、
後ろに大和がいるのに。
気付かれたくない私は、
黒田くんを曲がり角の向こうに
押して歩いた。
「あの!この騒動、あなたのせいなんですか?」
凛は黒田くんに詰め寄り、
この一連の騒動について問い詰める。
黒田くんはそれを聞いて、
今まで聞いたことのない低い声で
笑った。
「あっははは、なんだ。バレてたんだ!」
目の前が真っ暗。頭の中は真っ白。
意味が分からない。
黒田くんの聞いたことない、
嘲笑うような声が、耳にこびり付く。
「なん、で…?」
「棚橋さん、ごめんね?」
黒田くんは笑いながら私を見る。
そして、言葉を続けた。
「俺が潰したいのは君じゃなくて、あいつだよ」
あいつだよ。
そう言って指差した私の後ろ。
黒田くんの気味悪さに気を取られていて、
後ろにいる大和のことを忘れていた。
「あの男はね、ことごとく俺の邪魔してたんだ。知らなかったでしょ?」
「…邪魔?」
黒田くんは大和を見ながら、
言葉を並べた。


