「何これ…!ちょっと、何!何なの!」
隣にいた凛が慌てて剥がしてくれる。
私も、何も言えないまま、
無言で剥がし続けた。
どうしてこんなことになってるんだろう。
誰がこんなことしたんだろう。
そんなことが頭に浮かんだが、
それに対する答えは全く出てこない。
剥がしながら廊下を歩き、
教室にたどり着いた。
中にいたクラスメイトは騒然としていて、
入ってきた私のことをコソコソ話しながら見ている。
心配して駆け寄ってくれる女子もいた。
バンッ。
教室のドアが思い切り開くと、
そこへやってきたのは黒板消しを持った大和。
なりふり構わず消し続ける大和の背中を
ずっと見続けた。
そうやってもしかしたら色んな教室を
回ってくれたのかもしれない。
ブレザーが粉まみれだ。
「見てんじゃねえ!!!」
ジロジロ見ている周りの同級生たちに、
怒号を浴びせる。
周りは怯んで、視線を一気に逸らした。
「凛!明香!」
玄関の方から走ってくる京也。
息を切らした京也の手には、
私のことを書かれた紙ばかり。
汗をかきながら走り回ってくれていたのか、
制服も乱れまくっている。
「とりあえず、これは校舎から全部剥がしてきた…っ、」
「京也、ありがとう…」
こんなことになって、
もうどうしたらいいか分からない。
「明香、どうする!」
「とりあえず…、教室出よっか」
ここにいたらみんなに迷惑かかっちゃうし。
そう思った私は、教壇からこっちを
見ている大和にも視線を送り、
外に出ることも伝える。
大和は黒板消しを壁に投げ捨て、
そのまま教室を出た。
「明香、大丈夫?」
「うーん、こんなこと慣れてるじゃない」
「いやそれにしても、これは酷すぎるよ!」
私よりも凛の方が怒っている。
私は何が起きているのか分からず、
怒りよりも怖さの方が勝っていた。


