そこには、君が






「…っ、くそ…っ」





大和は急に動きを止めると、


私を押さえ付けていた手を離し、


脇のベッドを思い切り殴った。


悔しそうな声色で、


もう涙を抑えられない私がいる。






「大和…、ごめん、怒んないでよ…、」





動きを止めた大和は体を起こす。


私は抱きしめようと大和に手を伸ばすと、


それを見ていた大和は避けるように


ベッドから抜け出した。






「あ、」





大和は少し切ない表情を見せると。


悪いと一言残し、家を出て行った。


私はグチャグチャになったベッドに、


はだけた制服姿のまま、


しばらく動くことが出来なかった。






「あ!明香!」





一晩考えてみたけど、


やっぱり黒田くんの意図は


分からなかった。


私に近付くのは、


多分私が目的ではない気がする。


でも、じゃあ何かと聞かれたら、


全然思い付かなかった。







「凛、おはよう!」





いつも一緒に行っている大和は、


まだ怒っているのか先に行くと


一言メッセージが早朝に入っていた。


校門の前で待っていてくれた凛は、


複雑そうな顔をしている。






「昨日、大丈夫だった?」






「大丈夫ではありません」






「だよね…、」






どう言い表せば良いか困って、


一言で濁した。


靴を履き替え教室に向かう。


すると、校舎の中が、


何だか騒ついている。


教室へ続く長い廊下を曲がった時。


廊下に貼り紙があってあった。


【棚橋明香 男大好き】


【3年生棚橋です。お誘い待ってます】


【イケナイ遊び大好きです】


そんな言葉と共に、


私の顔写真が貼られていた。