「この学校だと、どれくらいの子と遊んだんだろうね」
「黒田、くん…?」
「同じクラスにもいるんじゃない?」
もう掻き乱されて、止まらない。
急に不安になって、頭も追いつかない。
だって大和が、
私が初めてって、
言ってたもん。
「僕だったらそんな思いさせないのに、」
何を言ってるんだ。
何が目的なんだ。
いつも女の人といるくせして。
そう思いながら、
言い返そうとした時。
「黒田」
「おーっと、これはこれは」
私の前に大きな背中がやってきた。
後ろ手で私の手を握っている大和が、
怒りのオーラを放ちながら立っている。
「お前、どういうつもりだ」
「いやいや永森くん。まるで俺が悪者みたいに」
煽るような言い方をされ、
大和の手に少し力が入る。
疑心暗鬼な私も、
思わず握り返してしまった。
大和のこと信じたいのに、
少し揺れてしまっている。
「明香に声かけんな」
「別に獲ろうとかしてるわけじゃないんだしさ」
「次、少しでも近付いたらお前を潰す」
言ったらやる男。
分かってるから、
こうなりたくないから、
気を付けていたのに。
「誤解しないでね!僕は別に、」
その時チャイムが鳴り、
午後の授業開始を知らせる。
「あ、授業が始まるから、僕は戻らないと」
またね。
そう言って、黒田くんは駆け足で
去って行った。
「明香…、って、何で泣いてんだ」
「ううん、何もない」
聞きたいけど、
言っていいのか分かんない。
きっとそれを聞いたら、
大和が怒るのは目に見えている。
「何か言われたのか?」
「大丈夫、気にしなっ…」
「言えって!なあ!」
怒んないって言ってるのは、
きっと口だけで。
言ったら怒るのは分かっているから。
「何もない」
言ってしまった。


