「きっとこれで明香ちゃんとの最後だろ?」
「それは…、」
春太さんはアシストするように、
徹平にそう言う。
「5分だけ…外で、待ってて」
「分かった」
じゃあ、ばいばい。
春太さんはそう言って、
店の外へ出て行った。
残された私は徹平の言葉を待ち、
その場に腰を下ろした徹平は、
沈黙を貫いた。
おそらく4分ほどはずっとだんまり。
お互い口を開かなかったが、
約束の5分まであと1分という時。
「明香にまた会えるとは思ってなかった」
そんなことを、口にした。
切ない笑顔で、私を見ている。
「元気そうで良かったよ」
「徹平も、元気そうだね」
そう言った瞬間、
徹平は下を向き、
少し鼻を啜った。
「凛ちゃんのこと、本当にごめん」
「…うん、でも仕方ないよ」
信じるとか信じられないとか、
そんなの誰かのせいとかじゃない。
自分の問題だもん。
結局私がそうだった。
「あれから、どうしてた?」
もうこの人とは会うこともない。
それが分かったから、
ちゃんと終わらせたい。
「私、大和と付き合ったんだ」
「…幼馴染くんか」
そうだよな。
小さく呟くそれが痛かった。
分かっていたかのような口ぶりで。
「もう行かなきゃだな」
「うん…」
私だって、また会えるなんて、
思ってもみなかった。
「徹平に言いたいことがある」
あの時。
電話で別れたあの時、
本当は言いたかった。
「何?」
「もう苦しまないで」
精一杯、反省している。
それを受け止められる人ばかりでは
ない世の中だけど。
「絶対笑える未来に生きて。絶対、絶対、幸せになって」
「…ははっ、本当。明香は…」
徹平が背負いきれない苦しみを、
誰か分かってあげてほしい。
こんなにも人を愛する気持ちを、
持っている人だから。


