そこには、君が






翌日の夕方。


私は少し買い物があると大和を誤魔化し、


1人でメールに書かれていた待ち合わせ場所へ


向かうことにした。


凛にも言えなくて、


今日1日中嘘つきな自分を責めまくった。







「明香ちゃん、こっち」






「お久しぶりです、」






待ち合わせたのは、


barの裏にある小さな喫茶店。


お店の前で待っていてくれた春太さんと一緒に、


店内へと入ることに。


少し古びた店内を一望すると、


誘導された通り窓際の奥へと座った。








「忙しいのに、ごめんね」






「あ、いえ。お構いなく」







話しながら、思った。


そういえば2人きりで話すの、


初めてだ。


そう思うと同時に、


変な緊張感が走る。







「簡潔に伝えるね」







春太さんは、すごくすごく悲しそうな顔をしている。


こんな人が、訳もなく浮気なんてするはずがない。









「俺、凛のこと、めちゃくちゃ大好きなんだ」






「…はい、」







間の抜けるその言葉に目が点になる。


春太さんは、凛が好き。


それは分かってたし、


私だってそうだと思ってた。


それなら今日は、何を伝えようと言うのか。






「明香ちゃんが徹と別れてしばらくした頃からね」






徹とは、徹平のこと。


そういえば春太さんはたまに、


そう呼んでいた。


もう懐かしい記憶になっている。







「凛、俺のことを疑うようになってきて」







「疑う?」






「徹と同じこと、してないの?って」







疑心暗鬼。


徹平は、「春太はやっていない。


関係ない」とずっと言っていた。


私はそれを凛にちゃんと伝えていた。


だけど、凛は信じきれなかったんだ。








「でも当然だと思ってた。徹は友だちだし、1番近くにいた奴だから」






春太さんは優しい。


ずっと前からそれは知っている。