「スケボーなんて、したことないんだ」
下唇を噛んでいる。
悔しそうに顔を歪め、
小さくごめんと言っていた。
「明香が気になって仕方なくて。だから俺…」
「…って、え、って…」
もう、私の中では、
ニュースよりも何よりも、
許し難い出来事だ。
だって、こんなのって…。
「明香、ごめん。俺、」
「…お願い、帰って…」
受け入れられない。
私は全てを騙された気になった。
あの時、運命だと感じたあの瞬間を。
信じていたのに。
「明香!」
徹平は急に立ち上がると、
私の方へと歩いて来た。
私も必死。徹平も必死。
徹平は私の両腕を力強く掴むと、
揺らして名を呼んでいる。
私は帰ってとしか言えなくて、
もう他の何を言えばいいのかが
頭の中に出てこなかった。
「明香!お願い、話をっ…」
「帰って。お願い…帰ってよ…」
その時。
玄関のドアを叩く音が聞こえた。
と、同時に怒号も聞こえる。
「大和だ…」
開けろと言う声が、
マンション中に響いている。
私はその声に気を取られて、
徹平が意識の外にいっていた。
恐怖心や不安は、
全て大和の声で消え去った。
その時。
徹平は私の手を引いて、
自分の方に引き寄せると
静かに私を抱きしめた。
別に嫌悪感があるわけではない。
この人はいつでも優しかった。
「明日、きちんと話させてほしい」
耳元で聞こえる徹平の声は、
すごく悲しそうで、
気を抜けば許してしまいそうな、
そんな雰囲気だった。


