そこには、君が








「俺がした過ちは自分でも反省してる。もう二度としたりしない。明香のことも、俺が全力で…」






「守るって。言うの?」






たった1人だったとして。


けれどその人を守れない人が、


どうやって守れると言うのか。


逆恨みされている徹平が。


しかも私を認知されている状態で。







「…もう、隠し事ない?」







もし許すとしたら。


ここで隠し事があるなら、


洗いざらい話してほしい。


もう無いと信じたい。


だから問いかけた。


もう無いよ、と。


言って欲しかった。







「もう、1つ話に来た」







今まで堂々と話をしていた徹平は、


私から視線を逸らし顔を背けた。


視線を床にずらし、


一点を見つめている。







「…、何、」








嫌な沈黙が流れ、


空気が変わった。


さっきまでの話は、


徹平も被害者な部分があるし、


受け入れ難い話だけど、


まだ聞いてあげることは出来る。


だけど。







「明香が俺と知り合ったばかりの頃、好きな人がいるって言ってたよね?」






「うん。…でも、あれは」






あれは、徹平だったんだよね?


そう言いかけて、やめた。


顔を上げた徹平が、


涙を浮かべていたから。


切羽詰まってどうしようもない。


申し訳ないが滲んでいたから。








「俺、何より最低なことをした」






「最低な、こと…?」







徹平の言葉が耳に届くまで、


長い長い時間が過ぎた。


最低なことって、何だろう。


徹平が泣いている。


私は今すぐにでも駆け寄って、


どうしたの、と寄り添わなければ


いけないのに。


何があったの?と。


聞いてあげなければいけないのに。








「音を奏でる人が好きって。言ってたのを…利用した」






「り、利用…?」






嘘だと言って欲しかった。






「あの日。明香と出会ったあの日、確かにあの場所にいたけど」






気が遠くなりそうだった。


夢だったらいいのに、と。


冷静にそう思う事ができたのは、


まだ現実を受け止められていないからだ。