凛と2人、
色とりどりのケーキの
前で、はしゃいでいた。
そんな時。
「徹平たちの彼女ってあなたたち?」
一瞬で凍った。
せっかく今日のために、
可愛くなれるようにって。
凛と2人で考えたのに。
私の服には、甘くて美味しいケーキが。
凛の服には、テーブルに用意されている、
本来は食事と一緒に飲むべきコーラが、
かけられた。
「ごっめんなさーい」
「手が滑っちゃってー」
棒読みの謝罪がぶつかる。
え、なんで。
こんなことになってんの。
「凛!」
柴崎さんが大きな声で名を呼ぶと、
机にあった台拭きで雫を拭う。
凛は大丈夫だと言いながら、
柴崎さんの手を止めようと必死になる。
私はどうしよう。
どうしたら。
「ごめんね」
いつの間に来たのか分からない。
気が付いたら、目の前に徹平さんがいて。
「大丈夫だよ」
私のドレスについたクリームを、
素手で触りながら退かしていく。
手に付いたクリームを、
床に投げ捨てている徹平さんは、
何も言わない。
「徹平、手汚れるじゃん!」
私にケーキをぶつけた人は、
ピンクの可愛らしいレースハンカチを
持ち、自ら拭こうと手を差し伸べた。
それを、徹平さんは。
「触らないでくれる?」
冷たく言い放った。
今まで見たことないくらいの、
とてつもなく低い声。
「だって、汚れて…」
「名前も知らない人に触れられたくないから」
一瞬も隙を与えず。
触れることを許さなかった。
私を守ろうとしてくれている。
それがものすごく嬉しくて。


