そして、彼が目の前に現れた。


「…、神野くん?」


図書室の中にいたのは、神野 颯(ソウ)くんだった。

隣のクラスで、名前は知っているが話したことはない気がする。
はっきりいって草食系地味男子。

神野君には悪いが、存在感は…、ないに等しい。


「こんにちは、三浦さん。じゃあ」


神野君は私に挨拶して、図書室を出て行った。



「あ、ノートっ!!」

神野君が立ち去った後、他の掃除当番の子が来た。

私は本棚の整理をしているふりをして、あのノートを開いた。



ノートには今日の日付で日記が新しく書いてあった。