土井くんは中学の時に比べて、少し背が伸び、かっこよさが増していた。
お金を渡した時も、言葉を交わした時も相手の顔をちゃんと見てなかったから余計に気づかなかったんだろう。
「そっか。卒業以来…だよな。あの時、守ってやれなくてごめんな桜庭…。
俺、ずっとどうしたらいいのか分からなくて…。結果的に桜庭を傷つけたかもしれない。今更だけど本当ごめん」
土井くんは申し訳なさそうな顔でそう言ってきた。
「ううん。大丈夫だよ…。今更なんてことない。そう言ってくれて嬉しいよ」
あたしは笑顔でそう返した。
前のあたしなら、返す言葉も表情も違ってたかもしれない。



