「そういえば、この学校に葉山くんと滝沢くんともう一人『StarRise』のメンバー居るって噂なんだけど、本当!?」
さっきから話しているのは、クラスメイトの酒井さん。
彼女の言う『滝沢』とは、『StarRise』のメンバーの一人で、3年に居る。
同じクラスになって日は浅いけど、相当な『StarRise』のファンなんだろうなぁ。
「さあ、どうかな。でも、もし居たとしたら、僕みたいに直ぐにバレちゃうんじゃないかな」
「あぁ、それもそうよね。じゃあこの情報は所詮デマってことね……」
と、言い、そそくさと自分の席へと戻って行った。
実は、その情報は事実なんだけどね。
多分この事を知るのは、私を含めて4人だけ。
「よし、じゃあそろそろ行こうか、千代」
「うん。」
その合図で、私達はお弁当を片手に立ち上がった。
廊下に出てしばらく歩くと……
「うわっ、ご、ごめんなさい!」
伸びた髪は整えられることなく無造作なままで、丸メガネをかけたいかにも目立たない系の男子生徒が廊下に立つ。
ネクタイの色は緑……つまり3年生。
「あ?んだよテメェ」
これまたいかにもヤンキーっぽい金髪の人に、胸ぐらを掴まれていた。
「うわ、かわいそ」
そういってクスクスと横を通り過ぎる生徒達。
「大丈夫かな」
隣の悠太が心配そうに呟く。
「多分、『日代』さんなら大丈夫だよ」
「……金髪の人の方が心配だよ」
あぁ、なるほど。
「お前、ちょっとツラかせよ」
日代さん、連れて行かれちゃった……まぁ、大丈夫か。
「千代、早く行こう?」
「うん」


