風も無く、真っ青な空の快晴だ。
家を出てコンサートホール周辺の街を散策するわけだけど……
「どこか行きたい場所ある?」
雄太が聞く。
「えと……」
特に考えていなくて、反応に困る。
「あ、あそこ!」
グルッと周りを見渡して、目に付いたお店。
『猫カフェ』と大きく書かれたお店を指した。
悠太が「了解」と言って、私の手を引いた。
店員さんに案内されて入った部屋には、そこらじゅうに可愛らしい猫がくつろいでいた。
「か、かわいい………」
ふさふさの毛が長い猫、足の短い猫、細いスタイリッシュな猫……
どの子も可愛いすぎて、悠太を置いてうろうろとしていた。
「はぅ……」
天使……連れえ帰りたいくらいだ。
猫じゃらしをチラつかせると、獲物を捕らえるように狙いを定めて飛びかかってくる。
かと思ったら膝の上に乗って、撫でれば喉を鳴らす。
「ちーよー?」
「よしよし、いい子だね」
「もしもーし、聞こえてますー?」
「……垂れてる耳も可愛い」
「むぅ……」
「へへ」
「……………猫ばっかりじゃなくて、僕も構ってよ」
「ひゃ!?」
急に囁く声と、吐息が耳元にかかり、飛び跳ねる。
その弾みで、驚いた猫が膝から逃げてしまった。
折角大人しく膝で眠ってくれたのに……
ムッと悠太を見上げた。
「やっとこっち見た」
「…………」
「千代が猫ばっかりで、僕に構ってくれないのが悪いー」
「だって、ここはそういう所だもん」
ぷいと顔を逸らして、不貞腐れた。
「………」
横目で悠太を見ると、しゅんとしてしまった。
「………一緒に、猫と戯れよう?それなら良いでしょ?」
「うん!」
そう言うと、ぱっと明るい笑顔で返事をした。
素直というか、単純というか……


