そして遊園地デート当日。




「いやぁ、遊園地久々だなぁ」



そう言うのは、私でも悠太でもない。



じゃあ、誰なんだというと_____



「千代、なんでここに伊津希にぃがいるわけ?」



何故かここには、私と悠太と伊津希お兄ちゃんの3人がいる。



「朝、いろいろあって……」




今日の朝……いや、昨日の夜からのことだ。




昨日の夜、突然伊津希お兄ちゃんから連絡があった。



『明日帰国します』




そして朝早くに、家のインターホンが鳴った。



こんな朝早くに誰だろう?



インターホンも確認せずに、扉を開けた。



「やぁ、千代」



扉を開けるなり、大きな体が、私を包み込んだ。



そして、頬に口付けをする。



「え……?」



戸惑いが隠せない。



「お、おーい、千代?俺だよ、伊津希お兄ちゃんだぞー?」




「な、な、なんで伊津希お兄ちゃんが!?」



「いや、だから昨日連絡したろう?明日帰国しますって」



確かに連絡はあった、だけど……



「こんな朝早くに、しかもうちに来るなんて聞いてないよ!」



「あれ、言ってなかったっけか」



「言ってない!」



「ごめん、ごめん。で、暫く泊めて欲しいんだけど、ダメか?」



「ええ!?」



もう、何が何だか分からなくなってきた。




「お邪魔します」



私の返答も待たずに、伊津希お兄ちゃんは勝手にあがった。



「え、ちょっと……!」



そして、キャリーバッグをリビングの片隅に起き、ソファに倒れ込んだ。



「ごめん、さっき着いたばかりで疲れてるんだ。少し寝かせてくれ」



それから数時間、伊津希お兄ちゃんはソファで爆睡していた。