そして最終回の撮影本番。
玲と奏に夏祭りに誘われた美琴。
そこで美琴はどちらかを選ぶ。
定番と言えば定番なストーリーだ。
「お前の想う方を選べば良い」
本番直前に、流くんが耳元でそう言った。
うん……
用意された浴衣に着替えると、撮影が始まった。
事前にスタッフさんたちにはこう言った。
『奏を選びます』
決意を固めた美琴は、浴衣姿で彼の元へと駆け出した。
公園で待つ玲の元へと。
そこで1度カットが入る。
「え、え……?」
悠太は戸惑っていた。
奏の方を選んだことを知らされていなかったらしい。
「ああ、悠太くんに言っていなかったね。奏ルートになったよ。てことで、公園で美琴が玲を振るシーンから始めるから、移動よろしくね」
「は、はい!」
悠太は、輝かしい笑顔で大きく返事をした、
「悠太、よろしくね?」
「う、うんっ。あ、ちょっと話してくる」
てってってーと、悠太は監督さんの元へ足取り軽やかに駆けていった。
玲を振り、奏とのシーンに入るも、何故か悠太がソワソワとしていて、何度もNGを食らった。
「大丈夫?」
「ごめん、奏を選んでくれたことが嬉しくて……」
「嬉しいの?」
「嬉しいに決まってるよ!」
「でも、そんなにソワソワしてたは、いつまでたっても撮影終わらないよ。迷惑かかっちゃう」
ここは真面目に言ってあげないと。
「ご、ごめんなさい……」
しゅんとする悠太が可愛い。


