玄関前で、悠太は私を抱きしめた。




「っ!?」




「こんなにも好きなのに……好きで好きでたまらないのに……。ねぇ、ちゃんと僕の気持ち伝わってる?僕のこと見てる?圭くんとか拓巳くんに目がいってない?」



まるで子供が親にすがりつくよう。



「ちゃんと伝わってるよ。悠太のこと見てるよ」




私は、無意識のうちに抱きしめ返していた。




「ん、ならよかった」





胸が苦しいよ。



なんで?



大切な幼馴染だから?



それとも、本当に好きだから?



きっとこれは、自分自身にしか分からないこと。




「ん」




「ひゃっ」



頬に軽くキスをすると、ゆっくりと体を離した。




ドキドキと心臓が高鳴って、何かを言おうとしても口はパクパクと動くばかりで声は出なかった。




「また撮影で」




離れていく体温が寂しいと思った。





悠太の姿が見えなくなっても、ドキドキは止まらなかった。




私って、悠太のこと好きなのかな……





きっともう分かってるんだ。



だけど、気づかなかっただけなのかも。



いい加減「恋って何か」なんて知らないふりするのは良くないのかな。