あっという間の時間だった。



今年はまた、いつもと違って特別な感じがした。



『ね、言いそびれてたけど、今日の千代最高にかわいいよ』




花火を見ていた時、悠太が私の耳元で言った言葉。



それを思い出して、急に顔が熱くなる。




「顔が赤いけど、大丈夫か?熱でもあるんじゃ……」


流くんは良く心配してくれる。



だけど、こればかりは言えないよ。



「なんでもない、なんでもないから!」




「ん?そうか?」




「そうそう!」




熱の抑えきれないまま、私達はそれぞれの帰路に別れた。



また、悠太と二人きりになってしまった。




また思い出しちゃう。



「僕のこと好き?」



「へ?」



「なんてね。まだ答えは出ないんでしょ?」




「……」




「もし僕を選ばなかったとしても、罪悪感で気まずい思いをするのは嫌だからね?今まで通りだよ?」




どうしてそんなこと言うの?




急に胸が締め付けられた、苦しくなった。




「そんなこと言わないで。諦めたように言わないで」




「ならさ、どうやったら振り向いてくれる?抱きしめればいい?キスすればいい?」



どうやったら私が振り向くかなんて分からないよ。




「抱きしめて。キスして。……なんてね。悠太を好きになったら、こんなこと言えるのかな」



「好きになってよ。それ、言ってよ」