窓から射し込む光に江神は目を覚ました。
ガンガンと頭が音を立てている。
「う〜ん…ここ何処だ?」
太陽の射し込む方向が違う事に気付いた江神は、今自分が居る場所が、自分の部屋ではない事には気付いた。
眩しさと頭の痛さが目を開けさせてくれない。
江神は手探りで携帯を探した。
けれど、手にはどこまでいってもシーツの感触しかない。
江神は小さな舌打ちすると体勢を変えた。
取り敢えず太陽の光に背を向け遮った。
うっすらと目を開けた。
見慣れない壁紙に、見慣れない景色。
見る限り何処かのホテルの一室に思えた。
頭の痛みを我慢しながら体を起こした。
キングサイズのベットの真ん中にぽつんと居る自分が滑稽だった。
しかも、なにも着ていない。
何も覚えていない。
でもその状況から思い付くのは、ただ一つだった。
「面倒くさいこと、しちゃったかな…。」
江神は後悔に頭を抱えた。

頭を上げると、隣の部屋のテーブルに綺麗に置かれた江神の私物があった。
「あ…携帯…。」
江神はこめかみを押さえながらベットを降りると、ふらふらと携帯を取りに行った。
携帯に手を伸ばすと、その下にメモが置かれていた。

【先に行きます。薬置いておきます。瑠奈】

その横には薬が置かれていた。
「気が効くじゃん。」
江神は薬を飲むとソファに腰を下ろした。
すぐに薬が効くわけではなく、動けば動いただけガンガンと響く。
江神はソファに横になった。
とにかく体が怠くて仕方がない。
目を閉じ昨日の事を考えてみる。
楽しく飲んでいたのは覚えている。
途中トイレに席を立ってところまでは覚えている。
その後が全く思い出せない。
もし思い付くただ一つの事をしたんだとしたら、瑠奈は完全に俺とよりを戻したと思うだろう。
だとすると、面倒くさい。
都合の良い女として扱うにも無理があるから、あの時捨てたんだ。
なのに、数年後こんな事になるなんて思ってもみなかった。
頭の痛さと、自分の思い出せない行動に眉間に皺が出来る。
思い出そうとしても、二日酔いの頭痛がそれを邪魔した。

携帯を見ると着信を知らせるランプが点滅していた。
江神は携帯画面を開けた。
一通のメール通知。
確認する前に時間に目が止まった。
優に10時を越えている。
完全なる遅刻に江神は少し笑った。
そのままメールを確認した。

【気持ち良く寝てたから起こさず行きます。会社には休みって言っておくから、ゆっくり休んで。また起きたら連絡下さい。待ってる♡ 瑠奈】

やばい・・完全にヨリが戻ったと思われている。
めんどくさくなった。。。
俺の人生に要らない人間は排除しなければならない。
今以上にめんどくさい事になるなら、その時はまた考えなくては行けないなと江神は思った。