まだ白く雪の残る山肌、
眼下に広がる色取り取りの花が咲く野原、
そこに飛び交う数種類の蝶々、
オウムやフラミンゴも宙を舞う中に、
三頭の白い狼と真っ黒な一頭のヒョウがいる。
それらに守られるように、
シルバーグリーンの長い髪に裸体の白い肌を見せつけるようにして眠る女性がいた。

『サリヤ・・・サリヤ・・・』

黒ヒョウの声に、女性は目をあける。
瞳は、獣たちと同じ淡いグリーンをしている。

「何だ？」

『人だ。人のニオイがする。』

黒ヒョウがそう言うと、
女性はゆっくりと上半身を起こした。

『サリヤ、どうする？』

『食って良いのか？』

「いや、待て。」

女性はそう言うと、
シルバーグリーンの髪をたなびかせながら立ち上がった。

『おい、サリヤ！！』

「待て！！」

振り替えって女性は叫ぶと、
視線を元に戻した。

「・・・出てこい。」

女性の声に、
草かげから一人の少女が姿を現した。

『女・・・？』

『女だ・・・』

『まだ小娘じゃないか・・・』

三頭の狼がブツブツと騒ぎ立てる中、
サリヤはさらに少女に近付いた。