「……朝倉くんって、洞察力があるんだね」
「それはつまり、俺が言ったことが当たってるってこと?」
首を傾げる彼に向かって、ゆっくりと頷いた。
「朝倉くんの言う通りだよ。自分が何を目指して勉強を続けてるのか全然分からないまま、とりあえず勉強してる感じなの。……だからこれも、未だに白紙のままだよ」
視線を向けたのは、机の真ん中で存在を強調しているプリントだ。
このプリントは、三者懇談会のときに先生から受け取った。
本当はそれ以前に配布されていて三者懇談会のときに提出することになっていたけど、私は何も書くことが出来ないまま白紙で提出した。そうしたら当たり前のごとくその場で返却された。
『夏休みが明けるまでには、志望校決めておいてね』
そんな言葉とともに突き返されたこの紙を、何度も憎たらしいと思った。
こんなものさえなければ、私は悩むことも苦しむこともなかったのに。でもそれは、単なる八つ当たりにしかならない。
どれだけ憎いと思っても目の前にある壁を突破しなければ、先へ進むことはおろか後戻りさえ悔しくて出来やしない。
そして悩みに悩んだ末、結局ここから動くことも出来ずに足踏みしているんだ。
「目指すものがないから、行きたい大学もなかなか見つけられない。成績がいいせいで親にも先生にもやけに期待されちゃって、余計自分の気持ちから遠ざかるようになった。友達はみんなしっかり自分の夢とか持ってて、いつしか自分だけ置き去りにされているみたいだった。そうしたら余計、早く進路を決めなきゃいけないって思うのに、気持ちだけが焦って全然志望校は見つからないままなの」
一度口を開いたら、するするとありのままの気持ちが出てきた。
朝倉くんは私の弱い部分を見ても、決して笑わない。むしろちゃんと目を合わせて、聞いてくれていた。



