「俺ずっと、折原は完璧な人だと思ってたんだよな」
「……完璧な人?」
「そう。成績はいつも上位だし、人としてもきちんと出来る人。先生達もよく折原のこと褒めてるから、本当にすごい人だと思ってた」
決して嫌味な言葉ではないはずなのに、あまり嬉しいイメージではないなと思った。
おまけに彼の言葉がすべて過去形だったことも引っかかった。
確かに私は成績上位者だし、日々の生活態度だって悪くはない。
校則を破ることも先生に刃向かうようなこともなく、何もかも真面目に過ごしている。だから先生には好かれていると思う。
まあ、いつも授業をサボったりから校則も守っていない朝倉くんとは、正反対のタイプだ。
……でも、それだけだ。
完璧だなんて、ほど遠い。
朝倉くんは視線を宙に泳がせてから話を続けた。
「でも折原と今年同じクラスになって、案外イメージとは違うと思った。いつも成績はいいのにちっとも嬉しそうにしてないし、勉強もつまらなそうにしてるのをよく見かけた。だから折原は……やりたいことのために勉強を頑張ってるわけじゃないのかなって思ったんだ。目標があって勉強して、それで成果が出せたらなら、もっと嬉しそうな顔すると思って」
同じクラスになって一緒に過ごした時間は、まだ半年にも満たない。
だけど朝倉くんが言う私の些細な様子は、確かにその通りだと思えるものばかりだった。
最初は知られたくないと思っていたはずなのに、彼になら自分の心境を打ち明けてもいいかと思えた。
ちゃんと「私」を見てくれていた、彼になら。



