気を紛らわすために、ずっと放置したままだった参考書を勢いよく閉じた。
分厚い参考書によって生み出された風圧により、机の上に乱暴に置いてあったプリントが吹き飛ばされる。プリントはすぐに下には落ちず、ふわりと宙を舞った。
私から逃げるように舞ったプリントをいち早く掴もうと、立ち上がりながら手を伸ばす。
だけど皮肉なことにそれは、先に動いた朝倉くんの手の中に収まってしまった。
「……あ……」
やばい、と思ったときにはもう遅く、朝倉くんは手にしたプリントを見ていた。
それを見られたからにはもう、気持ちを隠し通すことは出来ないだろう。
「俺の言ったこと、やっぱり当たってるだろ?」
設けられた欄には何も記入されていない進路希望調査のプリントをひらひらと動かしながら、朝倉くんはにやりと笑った。
朝倉くんは、私のペースばかりを乱す。
――なんなんだ、この人は。
後戻りできない状況に、体力と気力が一気に抜けていく。
深いため息をつきながら、疲れた体を椅子に座らせた。朝倉くんはプリントを机の上に置いて、同じようにもう一度椅子に座る。
「……何か言いたいことでもあるの?」
「あれ? よく俺の気持ちが分かったな」
「………」
私はちっとも楽しくないのにずっと笑顔でいる朝倉くんを見ていると、なんだか腹が立って顔が歪む。
ダメだ。完全に朝倉くんのペースに持っていかれている。
朝倉くんはわざとらしく腕を組んで聞きたいことを考えるフリをしたあと、ようやく口を開いた。



