「やっべ、見つかった!」
「朝倉、そこ動くなよ!? 今捕まえて、反省文10枚を書かせてやるからな!」
「ちょっ、枚数増えてるじゃねぇか!」
「サボったおまえが悪い! 朝倉、逃げるなよ!?」
窓枠に手をついて、先生に負けない大声で張り合っていた朝倉くん。だけど先生が動き出したのを見て、さすがにまずいと思ったのだろう。
朝倉くんは慌てて体を教室内に戻すと、そのまま出入り口に向かって方向転換した。
「逃げるなって言われて逃げねぇやつなんていねーよ! ……折原、逃げるぞ!」
「ええっ? ……って、ちょっと!!」
しかも驚きの内容を言うや否や、私の腕を引いて教室を飛び出した。先生がいる渡り廊下とは逆の方向に向かって走り出す。
私よりも断然足が速い朝倉くんのスピードに着いて行くのは大変で、ほとんど引っ張られる形でそのあとを追う。
最初は腕を掴まれていたはずなのに、いつしか私の左手を朝倉くんの右手がしっかりと握りしめていた。
汗ばむ手のひらの熱と、乱れる呼吸が私をわけわからなくさせる。
「ちょ、ちょっと朝倉くん!? なっ、なんで私まで……!?」
「あの先生、サボってたやつと一緒にいたやつは共犯だって言って、同じように反省文書かせるんだ!」
「そ、そうなの!?」
「そうなんだよ!」
「……っていうか、朝倉くん! 反省文サボって教室に来てたの!?」
そういえば朝倉くんがどうして学校に来ているのか、その理由は知らないままだった。今日は夏休みだっていうのに、思えば普通いないよね。
私みたいにわざわざ勉強しに来てるならまだしも……。
息も絶え絶えな私とは違い、息も乱さず涼しい素振りで朝倉くんは言う。



