「そうだね。きっと、何があってもこの夢は諦めない」
一度見失いかけてしまった夢だからこそ、なおさらそう思った。
今度はもう、忘れたりなどしない。だから、賭けてみせる。
力強く頷くと朝倉くんは窓から少し体を乗り出して、しっかりと紙ひこうきを構える体勢になる。
「よっしゃあ! 俺らの夢、飛んでけぇ!!」
グラウンドで活動している野球部の人達に負けない大声で叫んだ精一杯のエールが、校舎を見上げた人達を圧倒するぐらいよく響き渡る。
その直後、朝倉くんの手元から旅立った紙ひこうきは、青空に向かって自由に飛んでいく。
「行けぇー!」
「もっと飛べぇー!」
朝倉くんの声に負けないように、私も夢中になって声を出した。このエールが、いつか夢を追って行き詰った自分の背中を押してくれることを願って。
紙ひこうきは重力を知らないみたいにぐんぐんと飛んで、空に近づくように昇っていく。
そして思わずグラウンドを飛び越えてしまうのではないかと思えるぐらい、飛距離を伸ばして私達から遠ざかっていった。
「こらあっ、朝倉! 反省文サボって逃げやがったと思ったら、こんなところで紙ひこうき飛ばしてたのか!!」
紙ひこうきが空の青に吸い込まれていった直後、どこからともなく怒号がこちらに飛んできた。
その声の主の位置を探してきょろきょろしていると、いた。
私達がいる校舎と特別棟を繋ぐ渡り廊下の2階の窓から、3階の教室のこちらを睨んでいる生徒指導の先生が。
その先生は片腕を挙げながら、とてもお怒りの様子だった。朝倉くんがとても分が悪いといった感じで顔をしかめる。



