「……あの、朝倉くんの夢はいい夢だと思うよ? でもこんな……私の進路希望調査に書かなくてもいいんじゃないかな?」
「それはいいから、早く折原も書けってー!」
私の言葉は聞き入れてもらうこともなく、強引に右手にシャーペンを握らされる。これは無理矢理にでも、書かせる気なのだろうか。
「あっ、語尾は『なれますように』とかじゃなくて、ちゃんと俺みたいに『なる』って感じで断定的に書けよ? 夢はただの願望じゃなくて、目標なんだから」
「はいはい、分かりました」
仕方なくプリントの裏に文字を書き始める私に、何やら補足説明をしている声。それには素っ気なく返事をしておいて、自分の夢と向き合うように丁寧に文字に表した。
《世界に通じるような、英語関係の仕事をする。そして広い世界を自分の足で歩く》
言葉にするだけで、現実味が湧いていく。
書き終えると朝倉くんは私の手からシャーペンとプリントを素早く奪い取り、文字の最後に感嘆符を付け加えた。
朝倉くんの力強い文字が加わって、私の夢もなんだか力強い意志に満ちているように見えた。朝倉くんのパワーってすごい。
「意志は強く持たねぇとな!」
太陽みたいに眩しい笑顔を向けられて少し驚く。そうしている間に朝倉くんは、自分のもののようにプリントを折り紙みたいに扱って何かを折り始めた。
「ちょっと朝倉くん! 何してるの!?」
「何って……紙ひこうき折ってるんだけど?」
朝倉くんが自分の顔の前に出して見せたのは、綺麗に折られた紙ひこうきだった。羽がピンと伸びていて、飛ばせばどこまでも飛んで行きそうだ。



