私と彼のマイペース



「これから、頑張らなくちゃなぁ。英語関係の仕事って言ってもいろいろあるし、進路については具体的なことはまだ決められてないから、まだすべてが解決したわけじゃないしね」

「でも、英語関係の仕事がしたいって思うようになったことだけでも十分、一歩前に進んだだろ?」

「うん、そうだよね。だいぶ前進した気がする」

「大事な一歩を進んだんだ。折原ならその先も、自分のペースで進んでいけるよ」

「そうだといいなぁ。ありがとう……朝倉くん」


本当に本当に、朝倉くんのおかげだよ。

ありがとう。


抱きしめていた参考書を机に置くと、代わりのように朝倉くんが進路希望調査のプリントを手に取った。

そして私の筆箱からシャーペンを一本取り出すと、プリントの裏に何かを書き始める。


「ちょ、ちょっと。何書いてるの?」

「ん? 俺の夢。ほら、折原の夢も書いて」


わけも分からないまま様子を見ていると、顔の前に勢いよくプリントを押しつけられた。

近づけられたプリントから顔を離してそこに書かれた文字を見ると、確かにそれは朝倉くんがさっき言っていた夢だった。


《生徒に好かれる、体育の先生になる! そのためにまず、大学に合格する!》


力強い字で、右上がりに書かれていた。

朝倉くんの夢と、そのあとに書かれた、そこに辿り着くための一つ目の目標。濃くはっきりとした文字が、朝倉くんの意志の固さをそのまま形にしているみたいだった。


……そっか、朝倉くん、大学に行くんだ。ちゃんと、夢を叶えるための道筋はもう決めてあったんだね。

夢が心に戻ったばかりの私とは違い、すでに行く道を決めていた朝倉くんにちょっとした寂しさを感じるものの、私は肝心なことを尋ねなければいけないことを思い出した。