私と彼のマイペース



だけどその恐れ知らずな真っ直ぐな思いも、他の勉強に追われるうちにどんどん遠ざかっていったんだ。

現実を突き付けられてそれは幻となり、本当は見えているはずなのに、いつしか自分でも見えないフリをしていたのかもしれない。

でも見えないフリをしても一度見つけた道標は、ずっと消えることなく心に在り続けた。それが、この参考書に現れている。


「さっき、折原は好きな教科はないって言ってたけどさ。本当はちゃんと、あるんじゃねぇの?」


朝倉くんのやわらかな声が最後に背中を押してくれて、隠れていたものがもう一度心に存在を強く示す。

参考書を閉じて、しっかりと胸に抱いた。


「……うん、あったよ。ないと思っていた、夢も目標もここに」


あれほど悩んでいたときは寂しかった世界が、一気に華やかなものへと変化していく。


……なんだ、そっか。

私が解けないと思っていた問題の答えは、もうすでに導き出されていたんだね。

私が焦って自分のペースを乱してしまったから、なかなかそれは表に出てこなかったけど……。

自分のペースを取り戻して素直に心に従えば、ちゃんとこの胸は希望で溢れている。


朝倉くんの顔を見て、久しぶりに心から笑えた。


「よかったな、自分の気持ち見つかって」

「朝倉くんのおかげだよ、ありがとう」

「俺はなんもしてねぇよ。折原の力だ」


朝倉くんはそう言うけど、やっぱり朝倉くんのおかげだと思う。

今日朝倉くんと話さなかったら、きっと私はずっと壁にぶつかったままだったから。

晴れやかな気分で朝倉くんと向き合った。