「好きな教科かー。うーん……特にこれと言えるようなものはないような気がする」
「じゃあ、得意な教科は?」
「全教科」
「うっわ! 即答かよ! しかも何その成績がいい人にしか言えないような答え! 成績が学年最下位の俺に対する嫌味!?」
「いや、嫌味ではないんだけど……。それに、朝倉くんが最下位だなんてこと知らないし」
「いや、今言ったし」
「ふは! 何それ」
あまりにも真面目な顔で堂々と自分の成績を曝す朝倉くんの顔に、思わず噴き出すように笑ってしまった。
そんな私を見て、朝倉くんも嬉しそうに笑っている。変なの、笑われているのに嬉しそうだなんて。
……っていうか朝倉くん、最下位で先生を目指してるとか大丈夫なのかな?
志望校とか、ちゃんと決まってるのかな。
お節介の気持ちが徐々に本気の心配になってきたことなど知らない朝倉くんが、椅子から身を乗り出すような勢いで尋ねてきた。
「じゃあさ、得意な教科の中で、勉強してるときにこれだけは誰にも負けたくないって思うような教科はねぇの?」
「そうだなぁ……。そんな教科も、ないような気がす、――」
悩んだ末にそう言いかけて、言葉が止まった。
目の前の机に置いてある、参考書が目に入ったから。
「英語……」
「ん?」
「……英語は、そういう気持ちで勉強してたことがあるかもしれない」
「してた……って、今はそうじゃねぇの?」
自分で言った言葉のくせに、朝倉くんの言葉にすぐに返事をすることが出来なかった。



