「……そうだよね。自分のペースでいいんだよね」
自分のペースの中で悩んできたんだ。その速さの流れの中で、いつか自分の夢に出会える日が来るよね。
誰かの真似をして夢を見つけられたような気分になっても、きっとそれは「本当の夢」とは言えないだろう。
自分にしか描けなくて、自分でしか見つけることが出来ない。……そんな「本当の夢」の見つけ方を、彼は教えてくれた。
「……ありがとう、朝倉くん」
「えっ、何が?」
「分かってるくせに」
普段はおどけてみんなを笑わせることが多い彼にとっては、真面目な会話をしてお礼を言われることは慣れていなくて恥ずかしいのだろう。逸らした顔は、耳まで真っ赤に染まっていた。
でも今日の彼にだって、私は笑顔をもらったような気がする。
「てっ、てかさ! 折原は好きな教科とかねぇの?」
私に横顔をしっかりと見られていることに気づいた朝倉くんは、焦った様子で話題を変える。声が上擦っていて、思ったよりも照れているのが分かる。
「えっ、好きな教科? どうしてそんなこと聞くの?」
突然変わった話題の意図が見えずに聞き返すと、さきほどよりは少し落ち着いた返事が返ってきた。
「んー、だってさ。折原の夢、もしかしたら好きな教科の中に紛れ込んでるかもしれねぇだろ? 例に出すと、俺は体育の授業が好きだから、体育の先生になりたいっていう夢を持ってる」
「えっ、朝倉くんって先生になりたかったの?」
突然のカミングアウトに目を丸くする。



