そのことに気づかされたら……。
「私」という名の狭い世界で悩んでいた、とてつもなく大きく思えていた壁が、実はそんなに大きくないのかもしれないと思った。
人と比べてばかりいたから、それはとても大きく見えていただけで。
「私」という基準で見たなら、「私」の力で本当はもっと簡単に壊して突き進めるものだったのかもしれないって……。
曇っていた空が一瞬吹いた風で一気に晴れ渡るように、その可能性を示してもらったような気がした。
今まで見ていた「私」の狭い世界に、ふっと光が差し込んだような気がした。
「……まあ、俺の話は置いといてさ。折原の話をしようぜ?」
「えっ?」
「俺はさ、折原が今まで頑張って勉強してきたのは知ってる。だからさ、ほんと、その努力すべてに意味ないとは思わねぇよ。折原がやってきたことは、ちゃんといつか折原のためになるって、俺は思うよ」
狭い視界が開けた私の後押しをするように、朝倉くんが真面目な顔つきで口を開いた。
日差しを浴びている彼の姿は、この上なく眩かった。それでも見失いたくて、しっかりと目を合わせて耳を傾ける。
「今はまだ、夢は見つかってないかもしれない。でもきっと、折原が頑張ってきたことの中に絶対夢に繋がるものはある。……だから、ゆっくりでいいんじゃねぇの? 周りに置いて行かれて焦る気持ちは、俺だって痛いほど分かってるつもりだ。けど友達の真似して焦って夢を見つけようとしたって、多分なんにも解決しない。折原には、折原のペースでしか、見つけられない夢があるんだから」
ずっと真面目な顔つきだった朝倉くんの表情が、ゆっくりと綻びていく。
朝倉くんにつられて、彼の瞳に映る私も笑っているように見えた。



