涙の雨と君の傘

笹原に、誕生日を言った覚えはなかった。

どうして知っているのか聞けば、


「前に話してたよ。誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを一緒にされてムカついたとか」

「あー……」


そんな愚痴を言ったような気がしないでもない。

かなり前のことだと思う。


それを覚えていてくれたなんて……。



「でも、何で傘?」


可愛いけど。

白のストライプも入ってて可愛いけど。


「最軽量だっていうから」

「確かに、傘と思えないくらい軽いね」

「それくらい軽ければ、名瀬でも鞄に常備しておけるかなって」



それは……。






「雨が降ってても、俺の傘に入れられないなら」




初めて言葉を交わした日。

私は笹原との相合い傘を断った。





「せめて濡れないように、自分で持っていて」






どこまでも、

優しさしかなかった。


置いて行こうとする私に、笹原はこんな優しさをくれる。



いつもそうだ。



デートの日、喉をやられてた私に飴をくれた。


クッキーを割ってしまった私に、自分が作ったものをくれた。


足踏みする私に、映画のチケットをくれた。



迷った私を探して、

アイツの元へと走ってくれた。




全部全部、私の為に。

私の恋の為に。



こんな惨めで、ボロボロな、未来のない恋の為に、


笹原はいつだって、私を助けてくれた。







「その傘使って、行ってらっしゃい」