「名瀬、待って」
私の心の焦りなんて知らず、そう引き留めてくるかすれ声。
振り返ると、フラフラした足取りで、笹原が近づいてきた。
静かな部屋に、笹原の少し苦しそうな息づかいと、微かな雨の音。
「……雨?」
曇ってはいたけれど、来る時は降っていなかったのに。
「ほんとだ、降ってるね。……名瀬、傘は?」
「私が持ってると思う?」
「だよね」
さすがにこの時期に濡れるのはまずい。
笹原に傘を借りようか。
コンビニまで走って借りてもいいし。
「名瀬、これ」
笹原が差し出してきたのは、リボンのついた縦長の包み。
反射で受け取ると、それは軽くて、ちょっと固かった。
「なに?」
「開けてみて」
戸惑いながら包みを開くと、中から出てきたのは、
「傘……?」
水色の、折り畳み傘だった。
「ちょうど良かったよ。それ、使って」
「なんで……」
「だって名瀬、誕生日でしょ」
渡せてよかったと、笹原は嬉しそうに笑う。
どうして。
どうして笹原が、そんなに嬉しそうに笑うの?
私の心の焦りなんて知らず、そう引き留めてくるかすれ声。
振り返ると、フラフラした足取りで、笹原が近づいてきた。
静かな部屋に、笹原の少し苦しそうな息づかいと、微かな雨の音。
「……雨?」
曇ってはいたけれど、来る時は降っていなかったのに。
「ほんとだ、降ってるね。……名瀬、傘は?」
「私が持ってると思う?」
「だよね」
さすがにこの時期に濡れるのはまずい。
笹原に傘を借りようか。
コンビニまで走って借りてもいいし。
「名瀬、これ」
笹原が差し出してきたのは、リボンのついた縦長の包み。
反射で受け取ると、それは軽くて、ちょっと固かった。
「なに?」
「開けてみて」
戸惑いながら包みを開くと、中から出てきたのは、
「傘……?」
水色の、折り畳み傘だった。
「ちょうど良かったよ。それ、使って」
「なんで……」
「だって名瀬、誕生日でしょ」
渡せてよかったと、笹原は嬉しそうに笑う。
どうして。
どうして笹原が、そんなに嬉しそうに笑うの?



