涙の雨と君の傘



笹原の優しさにかこつけて、来てしまった。

恋愛関係のパワースポットで有名な神社に。


並んでお賽銭を投げ入れて、お参りする。

でも、目を閉じたはいいものの、願いが形にならず頭の中が霧のように白く霞むだけだった。


少し前までは、何を願うか決めていたはずなのに。

いまは何を願えば良いのかわからない。



アイツとずっと恋人でいられますように?

アイツともっと仲良く恋人らしくなれますように?

アイツが浮気しませんように?



アイツと……


アイツが……。




そろりと目を開けて、隣をうかがう。


整った横顔、伏せられた長いまつ毛。

笹原は静かに目を閉じて、真面目に何かを祈っていた。



そうだ。

笹原のことをお願いしよう。



笹原が健康でいられますように。

笹原が栄養のある食事をとれますように。

笹原がひとり寂しくありませんように。


がんばる笹原に、良い出会いが……ありますように。



幸せに、なれますように。




ツキリと胸のずっと奥の方が、一瞬痛んだ。


また目を開けると、笹原もすでに目を開けていて、私を見ていた。

私が笑うと、笹原もちょっとだけ笑う。










笹原が、好きだと思った。