涙の雨と君の傘

私だって優しくされたい。

心配されたい。


彼氏にちゃんと、彼女扱いしてほしい。

色んなことを、ずっと我慢してるのはつらい。


つらいんだ。



恥ずかしく言えば、


愛に飢えている。




「どうしたの。彼氏は?」


笹原がいた。

帰ってなかった。


たぶん、私を心配して待っていた。

店が見える所で、何かあればまた、助けようとしてくれていた。


「名瀬?」

「いなかった」

「え?」

「時間ないから、グループ戻ってた。怒ってるみたいだから、あとで謝らないと」


笹原の整った眉がわずかに寄せられる。

アイツを責めるように、私を憐れむように。


「ははは。あーあ。笹原もごめんね? せっかく探して連れて来てくれたのにさ」

「俺はいいよ。……グループに名瀬がいないと気まずいし」

「うそうそ。もう皆と結構打ち解けたじゃん」

「無理してるだけ。やっぱり名瀬がいちばん落ち着く」



ほら、優しい。


笹原は優しい。

こういう風に、アイツと関係ないところで慰めてくれるのだ。


でも、いま優しくされると困る。

嬉しいから困る。



困るんだよ、笹原。




「どうする? グループ戻る?」

「……そうだね。でも、その前にちょっとだけ付き合ってよ」

「いいけど、どこに?」

「神社。アイツと行こうと思ってたとこ」