涙の雨と君の傘

ぐるりと店内を見回しても、アイツの姿はどこにもなかった。


「あの……学ランの、明るい茶髪の男子高生、来ませんでした?」


店員に尋ねると、15分ほど前までは、店の前にいたと教えてくれた。


アイツはいた、確かにここに。

私のことを待ってた。



お礼を言って店を出た時、メッセージが届いた。

それはアイツからで、時間がないからグループに戻ると書かれている。


絵文字もスタンプもない、素っ気ない、淡々とした短いメッセージ。

怒ってるのは明白で、唇を噛んだ。



さっき連絡とってから、そんなに経ってないじゃん。

戻る前にどうして連絡してくれないわけ?

彼女が迷ってるんだから、ちょっとは探そうとか思わなかったの?

せめて大丈夫かの一言くらいあってもいいんじゃないの?



そんな文句をぶつけたくてしょうがなくなったけど、

それらを無理やり飲み込んで、なんとかすべてをため息に変えることに成功した。


だって、アイツは別に悪くない。


悪いのは私だ。

グループ行動の途中で抜けることをお願いしておいて、迷って、約束の時間に間に合わなかった私が全部悪い。


だからアイツを悪く言うのは、恨むのは、間違ってる。

ちょっとどうなの?って思う部分はあっても、それを口にしちゃいけない。



でも、




「……名瀬?」



この心配する優しい声に、心を揺らしてしまったのは、許してほしい。