涙の雨と君の傘

私の声に振り返ったのは、4人組の男子学生だった。

見たことのない深緑のブレザーを着ている。

同じくらいの年齢に見えてさらにほっとした。


「私、修学旅行で来てるんですけど迷っちゃって。道を教えてほしいんですが」


そう聞けば、なぜか相手は苦笑い。

4人は京都の人じゃなく、私と同じ修学旅行生だった。


そっか。

平日の昼間に制服でうろうろしてるなんて、現地の学生じゃないよね。

それじゃ道聞いても意味ないじゃん。


「そうですか。ありがとうございました……」


今度は学生じゃなく、地元民ぽい人に声をかけよう。

そう決めて去ろうとしたけど、なぜか止められる。


ひとりなら一緒に行動しないかって。

はぐれた友だちを探してあげるからって。


親切な申し出だけど、はぐれたわけじゃないし、相手は友だちでもない。

この人たちと行動して、アイツと無事合流できてもお互い気まずいだけだ。


「ありがたいけど、ひとりで大丈夫です」


そうきっぱり断ったのに、4人はまあまあと私を囲むようにしてさらに引き留めてくる。

修学旅行のテンションで、軽くナンパして遊んじゃおう、みたいな考えがニヤニヤとした顔から透けて見えた。


「ほんとに大丈夫なんで……」


抜け出そうにもじりじり距離を詰められて焦る。


どうしよう、時間もないのに。

アイツが待ってるのに。


おごるからどこかで休憩しようと肩を組まれそうになった時、

不意に横から伸びてきた手に、強く腕をつかまれた。



「なにやってんの、バカ」