涙の雨と君の傘


私は京都を舐めていた。

いや、京都というか知らない土地というものを。



「迷った……」


それはもう見事に迷った。

どうして迷ったのか自分でもさっぱりわからない。


地図アプリ使ってなぜ迷うんだろう。

逆に難しくない?

現代っ子失格だと思う。


前を見ても後ろを見ても、右を見ても左を見ても、まったく見覚えのない道に見えるし、一度通ったことがあるような道にも見える。

どちらから歩いてきたのかもわからなくなり、完全にお手上げ状態だ。


「まいったな……どーしよ」


とりあえずアイツに連絡した。

道に迷ったと言ったら、何やってんだよと呆れられる。

アイツはとっくに待ち合わせ場所に着いていたらしい。


友だちに頼んで抜けさせてもらったのにって文句を言われて、謝るしかない。


探しに行くとすれ違いそうだから待ってると言われて、

その通りなんだけど、ちょっと冷たいと思ってしまった。


でも迷った私が悪いし、なんとか自力でたどり着かないと。


「このアプリ間違ってんじゃないかな、もうっ」


スマホをしまって歩き出す。

とりあえず、道を聞こうにも誰もいないから、人通りのある道まで出ないと。


限られている時間の砂が、どんどん零れ落ち減っていく。

その焦りと、知らない土地でひとりぼっちという不安で、心臓が嫌なペースで逸り出した。


しばらくうろうろして、大きな道に出る。

同時に人の姿も見つけられて、心底ほっとした。


「あの、すみません!」