涙の雨と君の傘


結局、アイツが私に独占欲に似たものを見せていた期間は、2ヶ月経らずで終了した。

笹原との関係も、友人のそれから動くことはないので、アイツも気にするのをやめたらしい。


私への気持ちなんて、まあそんなもんか、と。

笹原に自嘲するように愚痴ったら、軽く頭を小突かれた。


優しい手だったから、泣きたくなった。





季節は秋に移り、皆そわそわし始めた。

来週、高校生活最大のビッグイベント、修学旅行があるのだ。


行き先はベタに京都。

男女合同のグループを組んで、笹原と一緒になった。



「彼氏とクラスちがうの、残念だね」

「んー。でも、途中ちょっとだけ抜けて神社に行こうって約束した」

「神社?」

「恋愛成就で有名なとこ。京都ってそういうラブ関係のパワースポットが多いんだよ」

「へー」


ラブにまるで興味のない笹原は、どうでも良さそうな顔で、机の中から京都のガイドブックを取り出した。

ガイドブックの食事関係のページに、たくさん付箋をつけてるのを私は知っている。


ラブより食。

笹原らしい。


「美味しいものたくさん食べようね」

「うん。その為にバイト増やして貯金してた」

「笹原めちゃくちゃ楽しみにしてるね」

「浮かれてる自覚はある」


良いことだ。

クラスメイトとも距離を置いて、ひとりで過ごしている笹原が、学校行事で浮かれるなんて。

修学旅行がきっかけでおなじグループの仲間とも仲良くなれれば良いと思う。


私より仲良くなられたら、ちょっと寂しいけど。