涙の雨と君の傘

「それって結局、〝他の子”がいなくなれば、また元通りそのおもちゃには興味なくなるんだと思う」


つまりアイツにとって私は、使いふるされて興味の薄れたおもちゃってこと。

でも自分の物っていう所有欲みたいなものがあるから、新しいおもちゃをたくさん手にいれても、捨てられないんだ。


自分で言ってて悲しくなる。

だって、あんまりだ。


「そうならないように、がんばればいい」

「簡単に言わないでよ」

「別に簡単に言ってるんじゃないけどね。……はい、これ」


鞄の中から、細長い封筒を取り出す笹原。

それを私の机に置いて、スッと私の前に差し出してきた。


「今度の休みにある、映画の試写会のチケット」

「……えっ!? それってまさか、舞台挨拶のある!?」

「そう。名瀬が行きたい行きたいって騒いでたやつ」


そ、そんなに騒いでたかな。


しょうがないじゃん。

だって原作のマンガ大好きだし、主演の俳優さんも大ファンの人だったんだから。


「うわ~、すごい。どうしたのコレ」

「バイト先の知り合いにもらった」

「へえ~! いいな~っ」


食い入るように封筒を見つめていたら、「なに言ってんの」と額を小突かれた。


「名瀬が行くんだよ」

「へ?」

「それあげるから、彼氏誘って行ってきなよ」