紅葉が真っ赤に色づいた頃





山崎が土方の部屋へ


「菊から文が届きまして、元気そうですわ」

「そうか」

「副長のことも書いてますので、どうぞ」


〝月を見上げると土方はんを思い出す〟


綺麗な字でそう書いてあった


「ふん 忘れそうな書き方だな」

「や、旦那様に悪いやん」

「そりゃそうだ」








その翌月も手紙を持ってきた


「田舎暮らしになれて、楽しいそうですわ」

「そうか」



〝土方はんは、風邪ひいてないやろか?〟


「ぷふっ 先週まで、風邪っぴきやったて
返事書いたろ!」

「んなこと書くな!!」





君菊の父 孝明天皇が亡くなった





年が明けた頃





「菊のとこ、雪が凄いで寒いそうや」

「へえ~田舎っていってたもんな」


〝土方はんに笛を吹いて貰うの忘れてた〟


(あーそんなこと話したな
忘れてた)



毎月くる君菊の手紙が楽しみだった





〝梅の花 一輪咲いても 梅は梅〟

(なんで知ってんだよ……)





〝昨夜、月を見ました〟

(俺も…)