「副長…桝屋、黒です」

「よし!武田を呼んでくれ!」


山崎からの報告受け、夜明け前
武田に御用改め、桝屋を捕縛させた


拷問にかけ、長州の天子様連れ去り
火つけの計画を知る


仕事に復帰した君菊であったが

胸騒ぎがして、うわの空


「君菊 まだ本調子やないな?
今日は、これくらいにしよか」


島田屋の計らいで、早く帰ることに


置屋までの道のり

やはり、町の雰囲気がいつもと違う

置屋に着くなり


「与一はん…うち、新選組に行ってくる!」

「お供します」


目を合わせ、頷く


チラッと頭をよぎったのは



(与一って、うちが新選組と仲良くするの
嫌なんやなかった?まぁ ええか)




二人とも忍服で、屯所へ


「山南はん!」

「おや?君菊と与一、そのような格好で
どうしたんだい?」

「なんや、胸騒ぎがして…
手伝えることあらへん?」

「ふふふっ君は、やっぱり敵に慣れませんね
あっ 失礼… 土方君がブツブツ言ってたのが、耳に入ってね」

丁度、その時

山崎が戻ってきた



「本命は、池田屋でした
???なんで、菊がおるん???」

「お兄ちゃん、うち手伝えることない?」

「ほな、花ちゃんになってくれ
風邪っぴきが多くてな…
ほんで、怪我人も出るやろし」

「俺にも何か手伝いさせて下さい」

「与一は、医術はどうや?」

「簡単な手当てなら」

「ほな、風邪っぴきを頼む
花と俺は、怪我人の手当てするさかい
任せるで!?」

「はい」





陽が昇り、高くなった頃

屯所は、怪我人の手当てでごった返した


「原田さん!お水もっと持ってきて!!」

「おうよ!!」

「斎藤さん!!ちょっとこの人抑えてて!」

「花!!こっち手伝ってくれ!!」

「はい!」




夕刻まで、ずっと働いた

与一には、先に帰って貰い
仕事の支度を頼んである


「うち、仕事やから
お兄ちゃん、また明日手伝いするね」

「アホ 寝らんと倒れるで!!」

「せやけど…」

「男手ならあるし、ええで」




しぶしぶ帰ることになった



(土方はん…大丈夫やろか?)



どんな顔で会えばいいのか、わからない
それでも、一目様子を覗おうと

土方の部屋へ


「土方はん…仕事やから、帰りますね」


スーーー



すぐに襖が開き



土方の腕の中にすっぽり収まる

「土方はん…うち、帰るんどす」


土方を押し、距離を開け、顔を見る

ドキッ



(/////あかん!!!思い出す!!)


誤解だったとはいえ、この人と

そう思うと、赤くなり盛大に照れた


「土方はんも、体を休めて下さい
しっ…失礼します」


(アホや!うち、ホンマあかん!!
お仲間亡くして、怪我人やら大変な時に
敵や!!土方はんは、敵!!!)


「おめぇこそ、仕事前に悪かったな
明日は、休んでいいからな
ありがとうな」


そう言って、土方は君菊に口づけをした



どうしたらいいのか

さっぱりわからない君菊は


バタバタと屯所から、逃げた