「ユウ……」

私はその時、あなたにどんな顔を見せていたのかな。
きっとぐちゃぐちゃな泣き顔だったんだろうな。

せっかく奇跡みたいな再会なんだから、綺麗に笑えればよかったのにね。
でも、いつもの様に柔らかく笑うユウの目尻にも今にも溢れそうな涙を見つけて、なんだかとても嬉しかったの。



いつも笑顔だったユウが見せた、はじめての涙。


「ユウ、ごめんね?」

「なにが?」

「ユウから貰った宝くじなくしちゃった。風に飛ばされちゃった」

あの宝くじはどこまで飛んでいくんだろう。
窓の外の青い空に目を凝らしてみても、もうその小さな紙切れは見つけられなかった。

「いいよ。これ以上奇跡をのぞんだら、本当にバチがあたっちゃうよ」

ユウも笑って言いながら、ふたり並んで空を見上げる。
当たっているかどうかもわからない、一枚の宝くじ。

「あの宝くじ、誰かが拾ってくれたらいいな」

「うん。ちゃんと当たってるか、誰かが調べてくれたらいいよね」

風に飛ばされた宝くじ。
きっと、誰かが拾ってくれる。
そんな気がした。


そうやって、奇跡は続いていく。
だってこの世界は、こんなにもこんなにも、たくさんの奇跡で溢れてる。