にゃおん。

私の足元で雨が、早く行け、と言うように偉そうに鳴いた。


「あかりー? どうしたの?」

不思議そうに首をかしげた友達に

「ごめん。ちょっと、行ってくる」

私はそう言って走り出した。




必死で走りながら、あの宝くじはどこに飛んでいくんだろう、なんて考えた。

青い空にどこまでも高く舞い上がる宝くじを見上げながら、私はあの場所へと走った。



辿りついた静かな廊下の突き当たり。

大きな南側の窓の前に、いつものように柔らかく笑うあなたがいた。

「こんにちは。あかりちゃん」

静かな廊下に、あなたの声が響く。

「あかりちゃんが『神様のバカヤロウ』なんて叫ぶから、神様が怒っちゃったじゃない。おかげで方舟に乗り損ねちゃったよ」


笑いながら、ゆっくりと私に近づく。
そして、優しく頬に触れた。

頬に感じる暖かい手の感触に、あなたが生きていることを実感した。