ベッドの上でたくさんの管に繋がれたユウは、私の目から見てももう長く生きれないことは明らかだった。
まるで小さくなったロウソクの火のように、静かに燃え尽きようとしていた。

「そうだ、あかりちゃん」

泣きじゃくる私にユウは優しく声をかけた。

「あの引き出し開けてみて」

そう言われて指差した先のベッド脇の引き出しを開けると、中には一枚の───

「宝くじ……?」

「その宝くじ、あかりちゃんにあげる。それを持っていたら、きっと奇跡が起きるよ」

そんなこと、言わないで。
そんなに優しく笑わないで。
まるで、もう本当に、最後みたいじゃない。

「私は奇跡なんていらないから、ユウに奇跡を起こしてよ! 死なないでよ!!」

「ぼくはもう奇跡を起こしたからいいんだ。こうやってあかりちゃんと話ができて幸せだから。これ以上の奇跡を望むほど、ぼくは欲張りじゃないよ」

いつの間にか、雨音が止んでいた。


あんなに激しく降っていた雨が
あんなに激しく吹いていた風が
嘘のように辺りは静まり返っていた。