カラリ。
静かにドアを開けて入った病室の中に、ユウがひとりで眠っていた。
病室の中のベッドの上で、たくさんのチューブや点滴やいろんな装置を繋がれ、でも、まるでお昼寝中の猫みたいな顔で静かに寝ていた。
あまりに現実味のない光景に私はどう反応していいのか分からずに、隣に立つユウをゆっくり振り返る。
「これが、本当のぼく」
昏睡状態の自分の体を見下ろして小さくつぶやくユウは、今、どんな気持ちなんだろう。
シューパー、シューパー。
色々な管に繋がれて眠るユウが静かに呼吸する音が、絶え間なく病室に響く。
私はそっと手を伸ばし寝ているユウに触れた。
すこし浮腫んだその手の暖かさが切なかった。
「ずっと病弱で入院していたから、自分の人生が長くないことは分かってたんだ。とっくに諦めはついてた」
眠るユウを見ながら隣に立つユウがぽつり、ぽつりと静かに言葉を繋げる。


